滲出型加齢黄斑変性症
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加齢黄斑変性症とは?
加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)は進行性の慢性疾患です。治療を受けていても中心視野(ちゅうしんしや)が悪化してしまうことがあります。周辺視野(しゅうへんしや)には問題が起きないことも多いのですが、読書や裁縫、料理など、中心視野を必要とする物事ができなくなってしまうことがあるかもしれません。
加齢性黄斑変性症の種類
(1) 滲出型(血管新生を起こすもの)
- PCV(ポリープ状脈絡膜血管症)
出血・漿液性色素上皮剥離をおこす、血管の先端がこぶ状(ポリープ)になる - RAP(網膜内血管腫状増殖)
新生血管が網膜内に起こり、予後不良のことが多い
(2) 萎縮型(血管新生を起こさないもの)
滲出型加齢黄斑変性症では視力が損なわれます
滲出型加齢黄斑変性症を放置すると、中心視野は急速に失われます。多くの場合、数ヶ月から2年程度の間に視力が急速に低下してしまいます。あなたの視覚もすでに変化しているかもしれません。次のようなことはありませんか?
- 視野の中央部に見えない部分や暗い部分がある
- 視野が揺らいだり、ぼやけたりする
- 標識や本が、目の前にあるのに読みにくい
加齢黄斑変性になるとどんなふうに見えるのか?
症例1
この画像は加齢黄斑変性症と診断された患者さんの初診時の網膜の断面図と蛍光眼底造影写真です。加齢黄斑変性は、網膜の中心にある黄斑というところに異常な老化現象が起こり、視力低下や視野の中心が黒くなる病気です。
黄斑の中央は本来なら少し凹んでいますが、左の画像では水が溜まり盛り上がっています。右の蛍光眼底造影写真の画像ではむくみがあるのがわかります。この時の視力は0.1でした。
ルセンティス治療後
加齢黄斑変性症の治療法として、光線力学的療法(PDT)、レーザー凝固術、ルセンティス・アイリーアとベオビュによる薬物療法 などがあります。この患者さんは1回のPDTと3回のルセンティスによる治療を行いました。PDTは薬剤を体内に注射した後に、病変部にレーザーを当てる治療法です。
また、ルセンティスによる薬物療法は月に1回、眼の中心の硝子体という部分に向けて注射し、3ヶ月繰り返す方法です。
この画像は、PDTと併用しながら、3ヶ月かけてルセンティス治療を行った結果です。3ヶ月前の初診時の左の画像と比べ、黄斑の中央にあった膨らみが凹んで正常に近い状態に戻ったことがわかりますが、治療後の視力は0.2となりました。
ルセンティス注射後は経過を診ていましたが、1年後に再発した画像です。
ルセンティス治療後
再発後、3回のルセンティス治療を経て、現在に至ります。網膜が薄くなり視力を司どる視細胞内節外節接合部であるIS/OSラインが欠損しているため、現在の視力は0.2です。
加齢黄斑変性症から視力の低下を防ぐには、早期発見が重要になります。早期に発見できれば、効果的な治療を行うことができ、視力・視野の維持改善の可能性も高くなります。
症例2
この画像も加齢黄斑変性と診断された患者さんの初診時の網膜の断層像と蛍光眼底造影写真(右)です。この患者さんの網膜の中央部分に水がたまっており、初診時の視力は0.5でした。
ルセンティス治療後
3回のルセンティス治療後、網膜の浮腫が軽度残存しているが、IS/OSラインが障害されていないため、視力も1.0と回復しました。
抗血管新生薬療法(こうけっかんしんせいやくりょうほう)
体の中には、脈絡膜新生血管の成長を活発化させるVEGF(ブイイージエフ)(血管内皮増殖因子(けっかんないひぞうしょくいんし))という物質があります。抗血管新生薬療法は、このⅤEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより新生血管の増殖や成長を抑制する治療法です。